第5章 交流会幕後
「『思い上がってんじゃねぇよ』だっけ?それ、正宗が言える立場なの?」
「・・・っ」
正宗が蛍に言った言葉の中で、私が一番怒ってるのがこれ。
蛍も正宗に向かって言ってたけど、これが正宗にとっての地雷だっていうのは分かってる。
分かってるからこそ、言っておかないといけないこともあるのよね。
「蛍に思い上がってるのはそっちだって言われて怒るのは分かるわよ。でも、それを先に蛍に言ったのは正宗でしょ?言われたくないなら言わないようにするべきだって分からないの?」
どんどん正宗の表情が落ち込んでるけど、あえて言わないと。
透じゃ絶対に言わないだろうし。
「・・・あのね、正宗。あの人との間にあったことを全部忘れろって言ってるわけじゃないの。忘れる必要のないことだってあると思う。でも、少しは今目の前にあるものを大事にしなさい」
「分かってる・・・」
「・・・別に正宗が嫌いだから言ってるんじゃないんだからね。私じゃないとこういう事誰も言ってくれないでしょ」
「花子はいっつもはっきり言ってくるからな」
「私は正宗にも透にもいつでもはっきり言うわよ?私にとって二人は一応大切な幼馴染ですから」
「一応ってなんだよ」
一応は一応でしょ。
恥ずかしいから滅多にこういうこと言わないけど。
「とにかく、今度あんなこと言ったら容赦しないからね。覚えておきなさいよ」
「今日だけで結構メンタル削られたけどな・・・」
「だからそれは正宗の自業自得でしょ」
蛍に人前で土下座までさせておいて。
正宗は蛍が女の子だってこと知らないからそこまで気にしてないみたいだけど。
蛍自身も気にしてないみたいだったけど、女の子なんだからそこは気にして欲しいんだけどね。
end and next main knitting...