第6章 Chapter 6
3-3の教室。
そこがいつもの練習場所。
ドアを開けると京香がいる。
「おまたせ。フルートとかと合同練習じゃなくてよかった?」
「フルートとがいい?玲衣と一緒だから?」
笑顔で問いかける京香。
いや、と俊が言うと
安心したようにまた笑う。
しばらくは練習していた2人だったが、
だんだんと雑談に変わっていった。
「でさ、担任に渡しに行ったら保健の先生を口説いてたの!」
「あいつが!?うわー、かなり高嶺の花狙ってるなぁ」
「フラれるとしか思えない」
「確かに」
あれ?普通に話してる??
少し安心して練習するのも忘れて話していた2人。
…と思っていた。
俊がふと、京香を見ると彼女は涙目だった。
「京香?」
俊が心配そうに呼ぶと京香が笑う。
「あくび!!なんでもないよ!!」
「水輝となにかあった?」
京香は首を横に振る。
「じゃあ、どうしたの?」
「なんでもないよ!」
京香が叫ぶ。自分の声の大きさにビックリする。
「心配なんだよ。」
「心配なんかしてほしくない」
「そんなこと言うなよ」
「やめて!!私には水輝がいるし、俊には京香がいるでしょ!」
京香が叫ぶといつのまにか壁際に追いやられ
俊の手が壁についている。
俗に言う、「壁ドン」
「そんなこと言うなよ。心配なんだよ。俺…」
「ダメ!!やっと水輝のこと好きになれそうなのに!もう迷わせないで!」
逃げようとする京香を俊が腕で遮る。
「迷わせてんのは京香だろ。俺だって玲衣のこと好きなのに、京香がまだ心の中にいる。諦められないんだよ…好きなんだよ」
そう言うと俊は京香に口づける。
俊が離れると、2人の顔は赤くなっていた。
「ずるいよ。俊のことまだ好きって認めざるをえないじゃん…」
「それでいいんじゃない?」
2人は抱き合った。