第2章 chapter 2
「…というわけで一時間半後、ここに集合してください。それまではパート別練習です」
部長の指示でハッとする。
「俊、行かないの?」
俊と同じパートの京香がボーっとしてた彼に声をかける。
「行くよ。えぇっと、楽譜…」
「私の一緒に使えばいいじゃん。行こう?みんな行っちゃったよ」
「おう。」
廊下を歩きだす2人は、他愛のないことで盛り上がる。
「そんでさー、玲衣は結局買ってきたお菓子、妹と弟に食べられたんだってさ。かわいそうだよな」
「玲衣、もう少しちゃんとしたところに隠せばよかったのにね。」
「にしても、お菓子に三千円とかどんだけ買ったんだろう。」
「食いしん坊だからね、あの子」
「そうそう、あいつこの前アイス屋行った時さーーー」
俊が振り返ると京香が笑っていた。
でも、俊にはその笑顔がいつもの京香の楽しそうな笑顔とは違う気がした。
「ん?それでどうしたの?」
「あ、いや…ほら、みんな待ってるから早く行こう」
「うん…」
俊はなんだか切なくなってしまった。