第5章 chapter 5
授業中もあまり集中できず、玲衣はため息ばかりついている。
なぜ俊が京香の名前を呼んだのか…
まさか浮気だなんて。
「京香になんか勝ち目ないよ…」
かわいくて、優しくて、美人で、頭がよくて
そんな完璧な子に勝てるわけがない。
『浮気なんかしないよ』
俊の言葉が頭をよぎる
「嘘つき…」
なにか真実なのか玲衣にはわからない。
それでも、嫌な妄想が頭を埋めつくす。
「俊…」
泣きそう
泣いちゃダメだ
でも泣きたい
そんな葛藤を玲衣はずっと繰り返している
「玲衣」
「えぇ!?」
急に名前を呼ばれビックリする。
名前を呼んだのは水輝だった。
「どうした?すごくうなってるけど」
「う、うなってた?」
無意識のうちにうなってたらしい
「先生にバレてないよね…」
またため息をつく。
そんなことをずっと繰り返してした。