第5章 chapter 5
早朝。
「ん…まだ5時半」
玲衣が一足先に起きる。
なぜか家には誰にもいない。
同じベッドにいる俊はまだ寝ている。
「着替えなきゃ…」
玲衣がベッドから降り、自分の服を探す。
「…か」
声が聞こえる。
「俊?起きてるの?」
「…うか」
「寝言か」
「きょうか…」
玲衣にははっきりと聞こえた
『きょうか』
なぜ俊が京香の名前を呼ぶのか
昨日の涙も意味も
わからなかった。
だが、水輝から聞いた話を思い出すと
全てわかってしまった。
「…きょうか…れい…」
自分の名前を聞き胸が痛む。
「やめて、俊…」
「れい、きょうか…好きだよ」
「!!!」
玲衣は泣きだしてしまった。
俊を起こさないように、静かに。