第9章 チャンス到来
「さてと…どっちをやろうかな?」
二口に電話を切られた華楓は床に教科書や参考書の山を置き、その隣にギターを置いた。そしてその前にあぐらをかいて座った。
「出来なさ的にはこっちなんだよなぁ…」
左側に置いてある教科書の山を見て呟く。
「あぁでもライブ今週だしミスったら嫌だしなぁ」
右側に置いてあるギターを見てため息をつく。
「ああああどうしよう!!」
一人叫びながら大の字に寝っ転がった。すると突然机の上にあった携帯が鳴り出した。
「わっびっくりした…あ、にろか」
携帯の画面を見て二口からの電話だと確認した。
「…もしもし?」
『あ、華楓…さっきは切って悪かった』
「おっ電話繋がった」
二口の隣で電話を聞く3人。繋がったことにまず喜ぶ茂庭。
『あぁ別に大丈夫だよ。かけ直すって言ってたからかけてこなかったらまた電話しよかなって思ってたとこだしさ』
「ふーん…で、本題は?」
「二口お前ちゃんと話せてんじゃねぇか」
会話が途切れない二口を見て感心する鎌先。
『あ、えっとですね…その…勉強教えてくれませんでしょうか?』
「…は?」
「…え?」
二口と先輩達は華楓の口から出た言葉を疑う。
『え、まって『は?』って何なの?』
「いやごめん、華楓って俺より頭良いように見えっからさ…」
ご最もです。
二口の言葉に普通に頷く3人。
『でもさ、あたしにろの1個下だよ。流石のにろでも1年の範囲はわかるっしょ?』
「ちょっと待て、俺まず工業高校だからな?普段やってること違うからな?まぁ工業高校でも先輩がいるならまだ…あっ」
1人では教えられないと思った二口は茂庭達に救ってもらうべく目で助けを求めた。
「待て二口!ちょい待て!」
「あ、大丈夫。先輩確保したから教えられる」
「おぉぉぉい!」
『まじ!?ありがと助かるわ。じゃあ日曜でいい?それまでの予定はみっちりあるからさ。そんじゃあね!』
茂庭達の声は届かず、華楓との電話は切れた。