第10章 見えないライバル
「ありがとね奢ってくれて」
スタジオから帰宅途中の2人はマ○クで食事をしていた。
今更ながら何故練習が2人なのかと言うと、たまたま2人共宮城出身だったためである。他のメンバーの出身地は東京を始め福岡、長野など様々なのだ。
だから2人はのんびりと食事をしている。
「にしても食べるよな華楓は」
「え、お腹空かない?」
だからってハンバーガー3つは食べねぇだろ。
華楓の目の前に置いてある3つのハンバーガーを見て少し引いた多月。
「何?」
「いや…太るなよ」
「太んねぇわバーカ」
華楓の言葉にため息をつきながら多月は隣でハンバーガーを頬張る華楓の頭にポンと手を置いた。
「身長も言ってることもちっせぇな」
「ちっさくないわ!」
「俺から見たら充分ちっさいっての」
華楓は161センチ。175センチの多月から見たらそこそこ小さい。
「言っとくけどね、あたし184のバカ兄貴にも小さいなんて言われたことないんだよ!」
「あーあのセッターやってるって言ってた人?」
「そー。で、そういえばこの間幼馴染に久しぶりに会って、1個上で徹と同じくらいの身長だけどあたしのこと小さいなんて言わなかったよ!」
「ふーん…」
少し不満そうに反応する多月。それに戸惑う華楓。
「…多月?」
俺よりでけぇんだ…
「そいつもバレーやってんの?」
「うん!顔もまぁそこそこで頼りになるし、今主将なんだよ!」
「へー…」
先程よりも不満そうになる多月。二口の自慢をする華楓から思わず目を背けた。
華楓はそいつが好きなのか…はたまたそいつが華楓を好きなのか…
「なぁ華楓…って」
多月が華楓の方を見た時には華楓はメニューを見ていてまだ食べ足りないようだった。
「ほら、帰ってちゃんとご飯食った方がいいだろ?」
「うーん」
「人の話聞け。帰るぞ」
多月は無理やり華楓を引っ張って店を去った。そして互いに帰宅した。
そして華楓のTwitt○rには[多月とスタジオ練♪その後ハンバーガー奢ってもらった]の文字とスタジオの写真。その投稿をたまたま見た茂庭は
ライバル登場、かな?
二口が御門多月を認識するのはまだ先の話。