第9章 チャンス到来
「…あ〜何故出ない!」
家に1人の華楓は二口に電話をかけていた。
徹が来ちゃったら電話出来ないから今してるのに…というか今日は香奏が帰ってくる日なのに何で今日に限って帰れないから徹呼んどくね!ってなんだよ全く…
心の中でぶつぶつ呟いていると電話が繋がった。
「あ、もしもしにろ…」
『ごめん、後でかけ直す』
「えっちょっえぇぇぇぇ!?」
華楓と二口の電話は二口によってわずか5秒ほどで切られてしまった。
「…ったく…なんなのいきなり…」
その様子を二口の隣で聞いていた、というより聞こえていた青根は二口が何故電話を切ったのか華楓と同様で分からずにいた。
「…はぁ…あ、青根。俺用事思い出したから先帰ってて!」
青根が不思議そうにしながらも頷くのを確認してから、二口は走って家とは違う方向に向かった。
「…あ、すいません。今何処にいますか?」
「…あっ来た」
駅前のファーストフード店のテーブル席。走って来た二口の前に座っていたのは伊達工バレー部の先輩である茂庭、笹谷、鎌先の3人。
「走ってきてどうしたの?華楓ちゃんと何か進展あった?」
二口が恋愛相談をするのはこの3人、と言ってもいい程に最近は恋愛の話しかしてないので茂庭は二口の話を聞く前に自分から聞いた。それに対しても当たり前のように返す二口。
「実はさっき…華楓から電話が来て…」
「え、まじか!すげぇじゃんかよ!!」
最後まで話を聞かない鎌先。呆れた二口は思わずため息をつく。それを見て慌てて話を切り替えようと茂庭は二口の話を続けさせる。
「で、話の内容は?」
「…っと…何話していいかわからないんで切りました」
「…は?」
3人は固まった。その反応にはてな状態になる二口。
「なんで切っちゃったのーっ!?」
「ほんとなんでなんだよ」
「おめぇは馬鹿なのか!?」
茂庭と笹谷、鎌先に散々言われる二口。
「あ、でも後でかけ直すって言っておきました」
「だったら早くかけ直せよ!」
鎌先に急かされながら二口は着信履歴から華楓に電話する。