第8章 見かけによらず
「なかなかいませんね、部活に入ってない子…」
昼休み。華楓と潔子さんはマネージャーをやってくれる子を探していた。
「ねぇ雪宮華楓の隣にいるの誰だろ??」
「雪宮華楓は雪宮華楓でしょ?3年生かな…美人だよこれシャッターチャンスじゃん?」
こうなるのもそのはず。才色兼備以外の言葉があるのかというほどの美人と芸能界でも有名な華楓が廊下に並んで歩いているのだから。
「きっ清水先輩っ!?…と華楓?」
チョチョイ!あたしはおまけか?
「こっこんなトコで…どう…DO」
DO??この子頭大丈夫かな…今に始まったことじゃないけど…まぁいいや
「…日向あのね」
「ファフ!!」
「…」
日向の発する言葉にいちいちツッコムのが面倒になった華楓。
「1年生の中でどの部活にも入ってない子ってわかる?」
「…?」
「あたし自分で言うのもあれだけど、友達とか多くないし…日向ならわかるかなって…」
「??」
その日の部活。
「え、オホン。取り敢えず当面のスケジュールを伝えます」
はぁ…結局今日は誰も捕まえられなかったな…
武田先生の話を聞きながら華楓はため息をついていた。
「―で例の東京遠征ですが―」
そうだよ早くマネージャー見っけないと遠征始まっちゃうよああああああ…
「―で、来月になったら―」
「―!」
「期末テストがあるの。わかるよね?」
体育館が沈黙に包まれた。
「わかるよね?」
日向、影山、西谷、田中は武田先生と目を合わせないように逸らした。その様子を後ろの方に立っていた華楓は面白がっていた。
「テスト期間は向こうともだいたい一緒らしいので合同練習はそれの後―という事です―で予想はついてるかもしれないけど、赤点で補修になる強化がある場合―」
『補習は週末だよ?場合によっては夏休みにも入る。遠征は物理的に無理じゃないかね』
その直後、4人は白目を向いていた。これがこの世の終わりのような顔とでも言えるような顔だった。