第5章 仲良し(?)3人組
部屋の中にようやく入れた華楓は部屋着になり及川と岩泉がいるリビングに鼻歌を歌いながら出てきた。鼻歌に気づいたのは及川。
「その曲新曲?」
「うん。次の週末レコーディングだから」
「発売したら買うね☆」
「…従妹に依存している及川徹は気持ち悪いっていつも思うけどこれに関してはこちらの儲けがあるから口を塞いでやれないのが辛い」
「確かに気持ち悪いよなこいつ華楓華楓って…」
及川は華楓がCDやアルバムなどを発売するとその当日に買うほど。身内なのは華楓も承知の上だがもはやファン、身内以上の何かなのかもしれない。その状況に流石に鳥肌が立つ華楓。
「金曜日の夕方にミニライブなんだよね?」
「そう。…見にくんの?」
「当たり前じゃん!華楓の活躍を香奏姉に伝えるのが俺の役目なんだからさっ」
「…」
香奏は華楓の姉。インテリアデザイナーとして日本や世界に飛び回っているので及川はその間の保護者代わりなのだ。だが家のそばに香奏のショップ兼アトリエもあるため香奏が留守にする時間は少なく、結局及川がいるのは週2程度である。
「ほらクソ及川。華楓が嫌がってるっての」
「え、何岩ちゃんもライブ行きたいの?そーなの?」
「は!?別にそんなんじゃ…」
及川の言葉を全力で否定する岩泉をキョトンと見つめる華楓。
「…及川が何しでかすか分かんねぇからな…いってやる」
「え、岩ちゃん来てくれるの?あたし頑張るわ!」
華楓は岩泉の服の袖を引っ張りながら言った。
「岩ちゃんずるい!華楓俺にももっと甘えて!!」
「は?徹にやるわけないじゃん。岩ちゃんだからやるんだよ?」
「だとよ」
「酷い!いつも以上に酷い」