第3章 再会
「ここの信号渡ってすぐ左に『ECHIZEN』ってお店があってね、そこに行けば銃が・・・」
「透?どうかした?」
ふと花子が雪村の視線を辿ると、その先には最後尾という看板を持った人がいる謎の列があった。
そしてまた花子が雪村に視線を戻すと、何故か雪村が固まっていた。
「え、何?なにかあった・・・」
「うわああああッ今日発売だったのかこのゲーム・・・!!忘れてたーッ!」
「ちょ、雪村さん落ち着いてください・・・!」
嫌な予感のした花子が雪村が飛びついたポスターに目を向けると、そこにあったのは本日発売と書かれた初回限定のアダルトゲームのイラスト。
状況を把握した花子は小さいため息をついた。
「欲しい・・・初回限定版が死ぬほど欲しい・・・このエロゲーが欲しい・・・でも立花君を店に連れて行って俺が銃を買ってあげないとまっつんとの約束が・・・あ、でも花子もいるし俺がいなくても買える・・・でもでもそれじゃあまっつんに頼まれたのに・・・」
「だ、大丈夫ですか・・・?」
「いつものことだから気にしなくていいよ、蛍。むしろちょっと他人の振りしたいから離れておこ?」
確かに雪村を見ると路上で一人悶えていた。
怪しい人にしか見えないその挙動は、花子の言う通り他人の振りをしたくなるようなものだった。
暫くそんな動作をしていた雪村が、急に動かなくなった。
「さあ参ろうか立花君」
「誰ですかあなたは!!」
あまりのことに今まで見たことのない笑顔で、悟りを開ききったような感じになってしまった雪村を見て、立花は心配半分不安半分な気持ちになっていた。
横にいる花子を見ると、特に慌てている様子もなく呆れた様子で雪村を見つめていた。
きっと慣れているのだろう。
だが、そんな雪村は立花にとって見慣れず気持ちの悪いものだった。
見るにたえなかった。
「あ、あの雪村さん・・・」
「ん?」