第8章 覚悟
松岡に泣きつくも、その松岡もさも当然かのように台所付近の山を指して立花にそう伝える。
松岡が無理なら、と今度は花子に向かって同意を求めた。
「花子なら分かるでしょ!?俺の宝物!」
「一応私女だし、別に捨ててもいいんじゃないのって思っちゃうわよ?」
花子にもそう言われ、雪村は部屋の片隅でうずくまりめそめそと涙した。
「まっつんも花子も冷たいよーうううっ・・・」
「台所借りるぞー」
「あ、じゃあ私もそっち手伝うわね」
そんな雪村を気にすることなく、松岡と花子は台所へ向かって行った。
三人の関係性から察するに、いつもこのような感じなのだろう。
雪村もめそめそはしているが、あまり気にしている様子はない。
台所から雪村と立花の様子が見えるが、何を話しているかまでは聞き取れない。
しかし、帰ってきた立花の様子もいつもと違ったこともあり、花子は準備をしながらも立花の様子を気にしていた。
「そっち野菜切れたか?」
「あ、うん。終わったから後はお皿に盛るだけ」
一緒に作業していた松岡に声をかけられ、花子は意識を立花達から逸らした。