第3章 再会
「蛍は優しいねー。私だったら透は放っておくけど」
「ゲーム買えたらすぐ来てくれると言っていましたし、山田さんもいらっしゃいますから」
見るにたえなかった立花は、雪村に例のゲームを買ってください。『ECHIZEN』には立花と山田さんで先に向かっていますから。と提案したのだった。
雪村はそんな立花を命の恩人と表現し、まっつんからの言づけがあってね、何か困ったことがあったら『上にあがります』って言うんだよ~!と言いながら物凄い速さでゲームの買い付けに向かっていった。
「まぁ私がいれば一応銃は買えるしね。透が間に合わなくても大丈夫」
「あはは・・・山田さんはやっぱり雪村さんの対応にも慣れてますね」
「そりゃあね。中学からの付き合いですから。嫌でも身に付いちゃった」
嫌でも、と言いながら花子が本気でそう思っているわけではないことは分かる。
松岡の時もそうだったが、花子は雪村との付き合いも楽しんでいる。
あんなクセのある人達と長年付き合いがあるのだから、合わないわけはないのだろう。
「ところで上にあがりますってどういう・・・」
立花が雪村の言っていた意味の分からない言葉について花子に尋ねようとしたその時、携帯の着信音が鳴り響いた。
立花のものではないので、花子のものだろう。
案の定、花子の仕事場からの電話だったらしく、申し訳なさそうに電話に出た。
少し話しているとどうやら仕事場でちょっとしたトラブルが起こったらしくその連絡のようだった。
「ごめん、蛍。ちょっと時間かかりそうだから先に『ECHIZEN』に行っててもらえる?買う頃までには私もいるようにするから・・・」
「あ、はい。大丈夫です。山田も心配なさらずお仕事の問題を解決してください」
「ごめんね」
申し訳なさそうに立花にそう言い、花子は手帳を取り出しながら電話で指示を出し始めた。
そんな花子を見て、立花は一人歩きだした。
結局雪村の言っていた『上にあがります』という言葉について聞くことが出来なかったが、なんとかなるだろうと店に向かった。