第8章 覚悟
暫くすると立花が帰宅してきた。
階段を上っている立花はどこか表情が落ち込んでいた。
松岡と花子は二階にいたので、少し前から立花には気がついていた。
「なーに暗い顔してんだよ蛍っ」
「そうよ。蛍がそんな顔するなんて、似合わないわよ」
「学校でなんかあったのか?」
「・・・松岡さんに山田さん・・・なんで・・・」
立花は俯いていたので声をかけられるまで二人には気がつかなかった。
更に松岡だけなら同じ月城荘に住んでいることもあり、会うこともおかしくはないが花子までいることには驚いた。
最近よく花子と会う機会があったけれど、この月城荘に住んでいるわけではないので本来であれば会うことはないのだ。
この時間だと普段は松岡も仕事で家を空けている。
そんな二人が待ち伏せをしていたかのように、階段の上にいたことに驚いたのだ。
「なんでって・・・焼き肉やろうぜ」
「お金は全部正宗が出してるから、安心していっぱい食べましょ」
笑顔で食材が入った袋を掲げる松岡と、その隣りで松岡以上に満面の笑顔を浮かべてそう言った花子。
そんな二人を見て、断る理由もない立花は二人の申し出を了承した。