第8章 覚悟
「どうって、食べるに決まってるだろ。四人で」
「・・・あぁ、私達と透と蛍の四人ね。最初からそう言えばいいのに、本当説明不足なんだから」
「なんとなく話の流れで分かるだろー」
そう言われて花子は松岡との電話の内容を思い返してみたが、仕事後に暇かと聞かれ、暇なら来てくれと言われたくらいだった。
実際に松岡に会ってから、夕食のための食材買出しに付き合うのを知ったくらいだ。
そんな会話で、そこまで察することは流石に無理だろうと思うものの口には出さなかった。
「まぁ正宗が私だけを食事に誘うなんてよっぽどの事がない限り有り得ないものね」
「まあな。とりあえず、蛍が学校から戻るのを待たないとな」
「え、何?だから蛍がいつ帰ってきても良いように外にいるの?」
今松岡と花子がいるのは、月城荘の二階の松岡の部屋。
ではなく。
階段を上りきった所。
つまり、買い物袋を持ったまま外にいたのである。
「ま、そろそろ帰ってくるだろ」
「・・・無計画すぎるでしょ」
花子が自分の腕時計を見ると、現在の時刻が18時過ぎ。
確かに立花がまだ帰っていないのであれば、そろそろ帰宅する時間だろう。
立花の性格上、遅くまで寄り道をすることはないだろうと、花子もその場で待つことにした。