第6章 開幕
「あ、そうだ。もう一つだけ聞いていい?」
花子と藤本、赤羽が話している中、緑が雪村に向かって話しかけた。
「この一年でトイ☆ガンガンの方針は変わったの?」
「・・・どういう意味だよ」
「言葉のままだよ」
「・・・新メンバーは入ったけどそれ以外は何も変えてない。俺達は俺達のスタンスのままだ」
「・・・なるほど。なんとなく察しはついたかなー・・・ね、立花君」
雪村の返答を聞き、何故か立花に向かってそう言う緑を見た花子は嫌な予感がした。
その予感が何なのか、細かくは分からないが何か嫌な予感がしたのだ。
それはきっと、緑の立花を見つめる目がいつもの職場で見るものではなく、松岡や雪村を虐めている時のものに近かったからなのだろう。
「じゃあまたね」
「山田さんもまた後でっス!」
「いや、私は参加者じゃないから・・・」
そんな花子の声が聞こえているのか疑問だが、藤本は花子に向かって手を大きく振ってから緑について行った。
赤羽も花子に一礼してから去る辺り、嫌われているわけではないのだろう。
「あー・・・わりっ。俺ちょっと飲みモン買ってくるな」
「松岡さん・・・」
緑達が去った後、松岡がそう言い一人駆け足で去っていった。
飲み物を買うと言っていたが、雪村の手の中にはペットボトルが四本収まっていた。
人数分の飲み物があるにも関わらず、松岡は理由をつけてこの場を去っていった。
「あんなの・・・『意識してます』って言ってるようなもんじゃないか」
「ちょっと私も行ってくるわね。蛍は着替えてきた方がいいわよ。多分すぐ始まるだろうから」
「あ、はい・・・」
立花にそう声をかけ、花子は松岡のもとへ歩いていった。