第6章 開幕
「それ以上まっつんに近づくな。殺すぞ」
「ゆ・・・ゆっきー・・・」
花子がようやく松岡達を見つけて戻ってくると、以前ECHIZENで遭遇した状況以上の険悪さが漂っていた。
もちろん原因は緑永将。
「あんまり物騒なこと言うものじゃないわよ、透」
「あ、山田さん・・・」
戻ってきた花子を見て、立花がほんの少し安堵した表情をした。
緑と松岡達の関係性に困惑していたのもあるのだろう。
立花から見れば、緑と松岡達が顔見知りなことがまず驚きなはずだ。
前に立花から緑の名前が出た時は、緑から松岡達との関係を聞いていたような感じではなかった。
「永将さんもそれくらいにしてください」
「俺はただ正宗に聞いてただけなんだけどね。花子がそう言うならこれくらいにしておいてあげるよ」
雪村だけではなく、緑にも声をかける。
緑を名前で呼んだ花子に対して、またしても立花は不思議そうな顔をしていた。
緑も聞いていただけ、と言うが松岡にとってそれは聞いていただけという問題ではないことは花子も分かっている。
だからこそ、緑を止めたのだ。
「あんまり騒ぎを起こすと亀梨さんに怒られますよ」
「あの人怒ると本当に怖いからね。雪村君、気をつけないとダメだよ?」
「永将さんにも言ってるんですからね」
「あれ、そうなの?」
自分は騒ぎを起こすようなことがないと思っているのか、花子に言われて心外だというような顔をする。
そんな緑を相変わらず雪村は睨み付けているが、そんな雪村より松岡の方が花子にとって心配だった。