第5章 戦闘訓練
「普段のサバゲーは相手に触れる行為を禁じている。でもTGCは互いのチームの合意があれば、体術やナイフアタックが可能になる」
「合意があればだからどちらかが合意しなければ、体術もナイフアタックも禁止だけどね。今までそういうチームはなかったんじゃないかしら」
花子が松岡の言葉を受け補足する。
体術やナイフアタックをすることでより勝利に近づきやすくなるため、参加するチームは殆どがこの条件を飲む。
もしかすると合意しなかったチームもあったのかもしれないが、最終的に体術とナイフアタック禁止ルールでやっているゲームはなかったと花子は記憶している。
「超接近戦にならなきゃ体術戦になったりしねぇし、いくら技を決めても弾が当たらなきゃ死んだことにならない」
つまり体術でダウンしただけでは、ヒット扱いにならない。
あくまでサバゲーである以上、体術だけではダメなのだ。
「めったにこんな戦いにはならねぇけど、相手は勝つためになんでもしてくる。こっちもそれ相応の心構えが必要だからな」
なんでもしてくる。
松岡の言葉通り、TGCで勝つために普段であれば叱責されるような行動をも取るチームもいる。
TGCだからこそのルール。
「制限時間は15分。この時間に俺を倒せばお前らの勝ち。逃げ切れば俺らの勝ちだ」
「私は何もしなくても道連れなのはやっぱり変わらないのね」
「・・・20秒数えたら戦場に入って来い。先に入らせてもらうからよ」
花子から向けられた視線に耐えられなくなり、話を逸らすかのように松岡がフィールドに入っていく。
「了解しました・・・!」
「ぶっちゃけ負けたくないんだよね」
「え?」
「足ひっぱられるのはごめんっていうか・・・だから聞くんだけど、何かあったの?」
立花の態度が気になっていた雪村が真っ先に口を開いた。
負けたくない、足をひっぱられたくないとは言ってはいるが、花子にはそれは雪村なりの照れ隠しにしか見えなかった。
立花に対して雪村はかなり心を開いているように見える。