第3章 再会
「だからそのために新メンバーは必要なんじゃない。どうなのさ」
「入ったよ」
新しいメンバーが入ったことを隠す必要もなく、TGCに参加すれば分かることのため雪村が素直に答える。
そしてその事に驚く緑。
と、緑永将という人物を知らない人が見ればそう思うのだろう。
しかし花子は緑のその驚きにほんの少しながらも違和感を覚えた。
それはその事実をもう既に知っていて、わざと驚いたような感覚。
なんとなく、そう感じた。
「何その人ベテランさん?」
「いや、始めて一ヶ月くらいかな」
「射撃の腕は?」
「超がつくほどド下手」
「・・・」
「・・・」
実際に蛍の射撃を見たことがなかった花子も二人の会話を眺めていたが、流石に緑同様にその後に続く言葉が出なかった。
慰めの笑みを浮かべながら緑が雪村の肩に手をおく。
きっと他にどんな人物がこの場にいても、彼と同じような行動をするだろう。
TGCに向けての新メンバーなのに、射撃がダメというのは決定的に致命傷である。
「いや、そんな同情いらないし」
「じゃあなんでそんな子入れたのさ」
興味から聞いているのか。
それとも何か思惑があって聞いているのか。
「確かに腕はまだまだだしついでに頭は固い。つまらない正義感振りかざしてばっかだ」
蛍が雪村の中でそう評価されているのを知り、花子は涙が出そうになった。
悪い意味で言っているのではないのだろうと分かっていても、そう感じざるを得なかった。
「でもそれがあの子の原動力になっている。成すべき目的に、倒すべき相手に、貪欲に食らいつく圧倒的『意思』。・・・それが俺達の切り札だよ」