第3章 再会
「蛍には悪いことしちゃったな」
必要だからと同伴した大人二人が揃いも揃って一時的とはいえ離れて、立花を一人で行かせることになってしまったことに花子は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
雪村だけでは心配だからと頼まれたのに、自分まで仕事の電話とはいえ離れることになるとは。
立花はしっかりしているので一人でも大丈夫かもしれないが、サバゲー初心者である蛍一人では困ることもあるかもしれない。
もしかすると雪村の方が早くついているかもしれないが、いない可能性もある。
そう思い花子は足早にECHIZENに向かう。
『ねぇ雪村君。俺の正宗は、元気にしてる?』
ECHIZENの入り口付近まで来たところで、中から花子にとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。
言葉の内容から雪村も到着していて、声の主と鉢合わせているのが分かる。
雪村が先に来ていて良かったのかもしれないが、今回はそれが悪い方向になっているのではないだろうか。
中を覗いてみると、花子の心配の通り雪村とおぼしき人物が一人の男性によってカウンターに押し付けられていた。
雪村を押さえているのが声の人物であることは容易に想像が出来た。
「離してあげてくれませんか?永将さん」