第3章 木漏れ日の中で
「銀時、私もお出かけしたい。」
私も、説得側につこう。
「無理して遠出しなくても、ショッピングモールとか行くだけでも案外楽しいものよ?」
「そうですよ!お金を使わずにおでかけなんて、考えればいくらでもあります!!」
「行こうヨ銀ちゃん!!」
新八と神楽も、負けじとぐいぐい反抗していく。
「…え、マジで?ていうか、緑ちゃんまで?」
銀時の顔は見事にひきつっている。
「……はあ、仕方ねえ。たまには行ってやるか…。」
ついに銀時は降参したのだった。
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~銀時SIDE~
夕方。
依頼人から依頼料を受け取ると、そのまま全員で家まで歩く。
今回の依頼は普通に、失くし物を探してほしいという依頼だったので、依頼料はそんなに高くはない。
だが、今日の夜は焼き肉が食べれる。
チラッと横を見ると、いつも以上に上機嫌な新八と神楽。
緑も…まあ、いつもよりは楽しそうだな。
おそらく、来週行く予定になったお出かけが、楽しみで仕方ないんだろう。
そんなに喜ばれるとは正直思ってなかったので、反応に困ったというか、なんというか。
早速どこに行くか、ガキ二人と緑で決めているみたいだ。
……まあ、たまには、いいか。
少しだけ、ふっと心があったまる。
たまには、家族サービスするのが、家の主の役目だなと思ってしまった自分に笑みが出る。
帰る家がいる。
帰ったら、誰かが「おかえり」と言ってくれる。
それだけで、たったそれだけのことであったまる。
「……今日は、焼き肉でも食べに行くか。」
そうぼそっとつぶやいた声に、反応する神楽。
「ヤッタネ!!!!肉がたくさん食べれるアル!!」
「この間、食べ過ぎて店の人泣いてたからほどほどにしなきゃダメだよ?神楽ちゃん。」
「ふふ、そんなの店側の都合だから無視しなさい。」
「緑さーーーん?!!」
やっぱり、いいな。
俺は、誰にも見えないように、静かに微笑んだ。