第3章 木漏れ日の中で
~新八SIDE~
二人が出かけた後。
「危なかったアル…。」
「ほんと…、バレなくてよかったね、神楽ちゃん。」
神楽ちゃんは「うんうん」とうなずいた。
もちろん、神楽ちゃんが風邪を引いたなんていうのは嘘。
元々このお出かけは万事屋で行くのではなく、『二人をくっつけちゃお作戦』のために決行しようとしていたものだったので、僕達は当然行くつもりなんてなかった。
だから、ぎりぎりまで一緒に行くことにし、後から何かしら理由をつけて二人にしてしまおうという計画になった。
「……で、これからどうする?元々万事屋はしばらく休業するって言っちゃってたし、お金もあんまりもらってないからご飯も僕の家で食べることになるけど…。」
「お前…、何言ってるアルか。」
神楽ちゃんが馬鹿にしたような目で僕を見てくる。
「な…。」
「みーちゃん達を追いかけるアル。」
神楽ちゃんの言葉に、僕は盛大にツッコみたい気持ちをあえて抑え、優しく問いかけた。
「…ま、待って。追いかけるって言ったって、どうやって?それに、ご飯代とかはどうするの?あの人たち二泊三日だよ?その間の費用は???」
「…新八、耳貸すヨロシ。」
神楽ちゃんが手招きをしてきた僕はそれにこたえるように、耳を近づけた。
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~緑SIDE~
ただいま、トラブル発生中。
銀時の原チャリが、パンクしました。
「あーーー!!もうすぐだってときになんでこうなるの!?」
「いや…、嘘だと言ってバイクちゃん!!!」
銀時は半ば涙目である。
私はため息をつき、近くを見回してみた。
少し田舎より。山のふもとの町である。
かぶき町からはちょっとだけ離れている。
…困ったことになった。