第3章 木漏れ日の中で
~緑SIDE~
そして、お出かけの日。
「それじゃあ、楽しんできてくださいね、緑さん、銀さん!」
見送りに来たのは新八。
神楽はマスクをしている。
「…ほんとにいいの?おでかけくらい、延期してもいいのよ??」
「何言ってるんですか!せっかく旅館に予約取れたんですよ?!」
「そうアル!あそこは近くに遊園地があるから、この時期は満員なのに予約取れたのは奇跡に近いアルヨ!ごちゃごちゃ言わず言ってくるヨロシ!」
神楽が異様に強気である。
「……神楽、風邪は大丈夫なの?」
「ゴッホッ!!!ウエエエエェェゴッホゴホッ!!!」
「ほ、ほ、ほら神楽ちゃん駄目じゃないか!!早く布団の中に!!」
そのまま神楽は万事屋の中へ入っていった。
「おーい、おせーぞ緑ー。」
銀時が下で待っている。
「ごめん!今行く!!…じゃあ、後のことはよろしくね、新八。」
「はい、楽しんできてくださいね。」
新八が笑顔で手を振った。
本当は、四人で旅館に泊まって、遊園地で遊ぶ予定だった。
しかし、前日の日に神楽が風邪を引いてしまい、お出かけも難しいだろうというくらいの弱りようだった。
私も銀時も、お出かけならまた後日改めてすればいいと言ったにもかかわらず、子供達二人は「お二人で行ってきてください」と、聞かず結局銀時と二人で行くことになったのだ。
銀時は無言で原チャリをすっ飛ばしている。
「…二人とも大丈夫かしら。」
「…そうだな。」
「神楽が風邪なんて、珍しい事もあるものよね。」
「…そうだな。」
「……今日はいいお天気ね。」
「…そうだな。」
何もない、他愛無い会話。
前は二人でいた。二人で万事屋を経営していた。
それがいつの間にか、四人と一匹になった。
…前まで二人で何の話をしていたのかわからなくなった。