第2章 桜色に染まって
~土方SIDE~
山崎の野郎をわざわざ呼びにこんなところまで来るんじゃなかった。
と、俺は今深く後悔しているところだ。
呼びたいときに携帯の充電が切れちまったんだから、しょうがないのかもしれないが。
「…副長、その、一体全体何の用で…?」
山崎は怯えてすでにがくがく震えている。
みっともねえな…。
「ん。近藤さんに至急、屯所へ戻ってくるように言われてな。別にわざわざ来る必要はなかったんだが、近藤さんの連絡の後に携帯が使えなくなってな。」
「それって俺もなんですか?」
「ああ、隊士は全員だ。お前は俺からの密命で動いているわけだから、他の誰かに呼びに行かせるのもどうかと思ってな。」
まあ、たまたま通ったからっていうのもあるがな。
「…というわけだ。ちょっと来い。」
そう言って俺は踵を返した。
―――――――――――――――
「いやあ!みんな!急に呼びつけてすまない!!」
隊士達が全員集まったところで始まった、会議ではない何か。
「全員そろってるか?」
俺は平隊士に確認を取る。
「俺達は全員です!」
「そうか。おい誰か、総悟を呼んで来い。」
「副長ー、沖田隊長ならそこに…。」
いつもいないはずの総悟がいる…だと?!
俺は即座に辺りを見回した。
だが、総悟なんてどこにもいない。
「ああ?!!どこにもいねえじゃねーか!!」
「いますいます!副長の後ろに!!」
その瞬間、すさまじい殺気を感じたので、俺は素早く身をかわす。
「おっしいなあ…、あと少しで殺れたのに。」
「てめっ…!なんで俺の後ろにいんだよ!!!」
「俺の背後に立たれるのは嫌だからでさあ。」
「上等だ!!てめえの後ろを狙ってやるよ!!!」
と、抜刀しようとしたとき
「まあまあ、総悟、トシ。落ち着いて座ってくれ。今から大事な話をしなきゃならんのだ。」
「近藤さん!隣に座ってもいいですか??!」
「隣は副長席だコラ!!!!」