第2章 桜色に染まって
「俺が、あいつを幸せにできると、思うか?」
「…え?」
銀さんらしくない言葉が出てきたことに、少し驚いた。
「こーんなマダオだぜ?俺は。長谷川さんの、二の舞じゃねーか。」
「いや、自覚あるなら直してくれればいい話じゃないですか。」
やっぱり、そんな理由か。もっと大事な理由でも、あるかと思ったじゃないか。
別に、経済的な余裕をのぞけば、僕は緑さんと結婚してもいいと思っている。
強いし、世話するのも上手だし、料理もできるし、全然いいと思うのにな。
「……いや、やっぱ駄目だ。俺じゃ、駄目だ。」
そう言うと、銀さんは立ち上がって歩き出した。
僕も急いで追いかける。
そのまま、何もしゃべらずに万事屋まで歩いて帰っていた。
否定の言葉を言いたかった。
いつもの銀さんらしくないって。どうして、銀さんじゃ駄目だと思っているのか教えてほしいって。
でも、いつにましても銀さんは真剣だった。
あの適当さが、一切消えていた。
…マダオだけが、理由じゃないはずなのに。
でも、本当の理由は何も教えてくれない。
何か、銀さんにも考えることがあったのだろうか。
それは、僕にはわからないけど。
銀さんは何も語らなかった。
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「ただいま帰りましたー!」
「おかえり~。」
出迎えてくれたのは緑さんだった。
うっ、顔を合わせずらいな。
「わあ!結構買ってきたのね。銀時、貸して袋。」
「おお。」
そう言って、四袋を渡す銀さん。
それを軽々と受け取る緑さん。
いつもどおりだ、いつもどおり。
でも、どうしてか、雰囲気が違う気がした。
外が曇りだしているからかな。
天気のせいだといいな…。
そんなことを思いながら、僕は緑さんの手伝いをしていた。
神楽ちゃんは押し入れにいるみたいだ。
銀さんは。
いつもどおり、ジャンプを読んでいた。