第2章 桜色に染まって
しばらくして、銀さんが口を開いた。
「…なんで急にこんなこと聞いたんだよ。」
相変わらず、視線は下がったままだった。
さすがに、本当の理由は言えないし…。思ってたことのほうを言おうかな。
「攘夷戦争の時代。しっかりと見てきて、ちょっと思ったんです。」
僕は、砂場のほうを見ながら答える。
「銀さんって、緑さんのこと、すごく大切に思ってるんだなって。」
銀さんのほうに向きなおって、少し笑って見せる僕。
「だから、好きなのかなって。」
銀さんは、やっと視線をあげた。
「はー…。やっぱお前らをそこに行かせるべきじゃ、なかったな。」
ポリポリと頭をかく銀さん。
「で??どうなんですか?実際のところ。」
「好きだ。」
「へー、そうなんですか。……え?」
「俺は、緑が好きだ。」
体が固まってしまった。
口も、あんぐりしてしまう。
それは、いやまあそう言ってきてくれることを望んでいたとはいえ、本当に好きだとは思っていなかった。
僕がびっくりして、声も出せないでいると、銀さんが顔を赤らめたまま話す。
「……チックショー、やっぱ恥ずかしいな。んなこと言うの、性に合わねえ…。」
またうつむいた銀さん。
「……い、いつから、なんですか?」
やっとの思いで言葉を出せた僕。
「さあ…?気づいたら、好きだった。」
そのあとに「もうずっとだ。」とも言った。
これで、何か、今までの銀さんの行動がつながっていく気がした。
今までの、様々な場面での、銀さんの発言、行動。
銀さんは、大事な人しか、周りにおかないことを僕はなんとなくわかっていた。
ずっと一緒に暮らしている緑さんを、どれだけ大事にしているかも、ここでわかった。
そうか、銀さんは、緑さんが好きなのか、やっぱり。
「じゃあ、付き合えばいいじゃないですか。ていうか、あんたらもう同棲してるし、そのまま結婚してもいいんじゃないですか?僕は賛成ですよ。神楽ちゃんも、喜ぶはずだし。」
銀さんは苦笑いを浮かべた。