第26章 それは突然の。
それは真夜中
眠るの頭を撫でていた時だった
静かな部屋に突然響く着信音
があまりにも気持ちよさそうに眠るから、急いでケータイに手を伸ばしてスピーカー部分を塞いだ
“非通知”
夜中に電話を寄越してきやがったことには相当苛々したが、
非通知で掛けてくることにはもっと苛々した
鳴り止まない着信音
通話拒否にするのも気が引ける
こんな時間に非通知で電話を掛けてきやがった奴を、言葉で苛みたい
俺は通話ボタンを押して、小さな声で「誰だ手前」と問いかけた
返事はない
このまま何も言わないなら切ってやろうかと思ったが、少しだけ思い当たる奴の名を挙げた
決して、には聞こえないように。
「臨也」
「あぁ。ご名答だね」
俺から話すことなんてなにもない。ただ相手が話すのを待った
「俺はさ、今すぐにでも君を消したい気分なんだよね」
なにを今更…?暫くと離れて寂しくなったのか?
何かキッカケがあったわけでもない突然の「消したい」という発言に疑問を持つ
それに対して俺は淡々と言葉を連ねた
「俺もだ。を手前に渡さずに、このまま俺のもんにしちまいたいって思う」
「は今頃、君の隣で寝てるんだね。もしかして裸だったりするのかな?1日中歩き回ってつかれてる女の子を犯すなんて、流石バケモノだ。」
「おい、何で手前が分かったように言ってんだ」
「そんなの……分かってるからだよ」
分かってるから分かったように話して、何が悪いって言うんだい?
そう、笑いを含んだ声で話す臨也
俺らが今日行った店、買ったもの、食べたもの
面白そうに話すのが聞こえる
感情的になって大声を出してしまいそうだ
そんな時、の寝顔を見つめる
大丈夫…今は俺の彼女なんだからな…
「ねえ、部屋の電気つけてたら起きちゃうよ?」
「おい手前、今どこに、
『君の家の外だけど。』
電話を切って、服を着ることだけを考えた
部屋着は脱衣所に置いてある
近くにあったのは白いカッターシャツとズボン
着替えての頬にキスを落とし、唇に触れ、またキスをする
そして玄関のドアを開け、階段の下を見た
ファーコートの男がそこに居た
「何しにきやがった」