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【デュラララ!】究極選択Ior S

第29章 《 side S》 好きの力



5月中旬の、春とも夏とも言えない気候
わたしは今日も、そんな風の吹く池袋の街に足を運んだ

世の中はGWが終わってまた忙しなく街が動き始めた

そして、動くはずのない自販機も動いている


8時出勤の彼が投げた自販機が目に入ると同時に、とんでもなく大きな罵声が聞こえる午前10時

ロマンチックに言えば「俺はここにいる」っていう証明
一昔前なら怯えてただろうに…今はもう慣れた。

慣れたというより、ああ頑張ってるな、って思っちゃう


とびきり大きな罵声を聞きながら思い出したのはあんなこと…

昨日の朝の、愛らしくも男性的なおねだり声
ぎこちないキス
夏の日の約束
夏祭り

浴衣、実家に置いてきちゃった
また買わなきゃな…勿論、静雄好みのものを。

静雄が付き合ってくれるなら2人で選びに行こう

どんなのが好みなんだろう?
選ぼうにも、街にはまだ浴衣なんて売られてない
カタログだってない

具体例がないからきっと、色とか模様とか指定してくれるんだろうな

2人でそんな会話をするのを楽しみに、今日のバイトも頑張れる気がした

自販機が飛んだ場所から背を向けて歩き出す

浴衣なんていつ以来着てないのかな
夏祭りに行くことはあっても、友達はみんな私服だったから

前に浴衣を着た時から大分太っちゃったかも。
そんなことを思ってわたしは背筋を少し伸ばしてみる

「ダイエット、しなきゃなぁ……」

帯がキツくて祭りに集中できないなんて事態は御免だよ
2人で過ごす最後の日の祭りのために、ちょっと頑張ってみよう

コンビニで買うはずの昼食は予定より少し少なめにしてみた

お腹空くかもしれないけど、綺麗って思われるためなら頑張ろう…

今日の晩御飯も減らそう……
静雄は先輩と食事してくるみたいだから減らしてても心配されないよね

静雄はわたしに気を使って、「いっぱい食べろ」って言うような人だから。

お節介な人だから。

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