第25章 《 side S 》甘い(裏
「ねえねえ、明日はどうしよっか」
寝る直前のベッドの中
私が問いかけた時、静雄はうつ伏せでケータイとにらめっこをしていた
「何見てるの?」
「彼女が思わずドキッ!甘いセリフ10選」
予期しなかった答えに思わず吹き出してしまった
「正直に答えたんだから笑うなよ」
ムスッとした顔をしてる
それがすごく愛おしくて、静雄に抱きついた
おいやめろ!と言う割に抵抗する手は力がこもっていない
「ほら、どれか読んでみてよ」
「いやあれだろ、こういうのはタイミングっつーのがある」
確かにそうかもしれない
(料理してる時に)とか
(朝会った時に)とかばっかり
私は静雄のケータイのボタンをぽちぽち押して、画面を下に下げた
「あ!!これこれ、いまこれ言えるよ」
「………おい、こんな恥ずかしいの俺に言わせる気か?!」
「何を今更!大丈夫、笑わないから」
「絶対笑うだろ!!!!!」
静雄は暫く枕に顔を押し付けていた
どうしてそうなったのか私にはよく分かる
耳が赤いことから、恥ずかしがっているのだろうと推測できた
数秒すると勢いよく枕から顔を離し、ケータイの画面を確認してパタンと閉じる
うつ伏せになったままわたしの肩にまわされる手
そしてその手は、耳へ、頭へ…
一気に引き寄せられた
間近にある静雄の瞳
見つめられて恥ずかしさを感じて、自然と体温が高くなるのが分かる
耳元に近づけられる唇
そして、そこから聞こえてくる囁き声
「……お前いつも可愛いけど、ベッドの上で見ると……もっと可愛い」
「いやぁぁぁぁぁあ!!!!」
「何嫌がってんだよ手前!!!」
「嫌じゃない、決して嫌じゃない!!!やだ!!面白い!!!!!」
すごいギャップなんだもん、笑わない方が無理だった
「あは、はは、無理もう…ふふふ…」
「おい」
笑い続ける私の頬がグニッと引っ張られた
「いててて…いて……痛いよ… 」
頬が引っ張られて喋りづらいけど、たどたどしい言葉で痛さを伝えた
すると頬から離される手
「あれ……静雄、怒ってる…?」
「怒ってねえ。抱く」
「ん?!」
結構真面目な静雄の目
「嫌か?」
静雄は強引そうに見えて優しい
寂しそうに首をかしげる静雄を、優しく抱きしめた
「いいよ、全然嫌なんかじゃない」