第20章 《 side S 》 池袋の日常
「起きろ」
重い瞼を開けると、ぼやっとした視界には金髪の青年
身体はピクリとも動かさず、口だけをわずかに動かして声を出してみる
「んー…?あぁ、しずお…」
「今日は一段と寝起き悪りぃな」
「ふふ、ごめんごめん」
とても深い眠りだったのか、今日は起きるのに一苦労…
まだ寝てたいって身体が言ってるみたい
上体をゆっくり起こしてみる
「あ…いいにおい…」
「朝飯作った」
「ありがと」
私がそうやってへらへら笑うと、彼も笑った
「ねむ…い……」
「早く目ぇ覚ませよ」
ベッドに座る私に合わせて腰を屈め、首に腕をまわしてくる静雄
「どうしたの」と聞く間もなく頬にキスされる
勿論目はバッチリ覚めた
さっきまでしつこく私を取り巻いていた睡魔が、一気に何処かへ飛んで行ってしまう
「っ…!!」
「早く起きろ」
そう言って素早く背中を向けてしまったけど…
「静雄、いま絶対照れてた!!恥ずかしかったんでしょ!!可愛い!!」
急いでベッドから降りて静雄の後を着いて行く
「うっせぇな…まったく…」
覗き込んでみた静雄の顔は、すごく嬉しそうだった
ああ、すごくキュンキュンする。
「静雄、すごい寝癖だね」
「お前もな」
「でも寝相は静雄の方が悪いよ
昨日だって寝ぼけた静雄が上に乗っかってきてすごく重かったもん」
「俺はそんなことしねぇ」
「いやいや、ほんとだって」
「それはお前の夢だ」
………本当なんだけどなぁ…