第3章 赤い瞳
ティーカップがテーブルに置かれた
‘‘カタン”という音だけが広い部屋に残る
ふぅ…と息を吐いて折原さんがこう告げた
「君のコミュニケーション能力にはすごく惹かれたんだ。
池袋には君を紹介したい奴が沢山いる。
俺がそいつらとの共通の知人になってやるからさ、
引っ越してきたばかりの新しい土地で、友達作りなよ」
なんていい人なんだろう
私の顔を覗き込む彼は、どうしてこんなに魅力的なんだろう
「ここに居たいと言うより、折原さんと一緒に居たい…と思う…」
なにも考えずに発言するとこうなってしまう…
言った後で酷く後悔して、この上ない羞恥心に襲われた
「随分大胆なこと言ってくれるんだね」
顔を覗き込みながらニヤリと微笑む
「分かってます。恥ずかしいから言わないで」
「はいはい」
彼は笑った。
「じゃあ確定ね。もうそういう仲なんだから、折原さんじゃなくて臨也でいいよ。」
「恥ずかしい…」
その後、彼が紹介したいと言った色々な人の話を聞いた
非日常を好む少年、カラーギャングのリーダー、不思議な力を持つ少女
首なしライダー、変態闇医者、ワゴンで行動する4人組…
そして、人並みならぬ力を持つ、池袋最強のバーテン服
平和島 静雄
一度バイト先の店の人から話を聞いたことがある。
店の前のポストが無くなっていた時、
「ポストが撤去されることなんてあるんですね」
と言うと、あれは平和島静雄の仕業だ、と。
臨也さんにとっては学生時代からの仇敵であり、会えば殺し合いのような喧嘩をすると言った
話を聞いていると、本当に彼のことが嫌いなのが伝わってくる
重い空気。嫌そうに話す臨也さんと、それを真剣に聞く私
でもその重い空気を破る言葉があった
「シズちゃんはね、プリンが好き」
紅茶を口に含んでいなくて良かったと心から思った
「そいつも今度紹介してやるよ」
臨也さんの話に出てきた中では一番酷い事ばかり言っていたのに、
一番そいつに会わせたいんだ、というような感じが伝わってきた