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【デュラララ!】究極選択Ior S

第17章 直接対決




「ねえ、臨也さん」



「何?」



彼の腕に付いているファーが、サラサラと頬に触れてくすぐったい



「貴方の表情を見たい」



そう思うのは不自然なことではなかったと思う

何せ、彼の声は今すごく涙声だから



臨也さんは握りしめたナイフを下ろし、黙り込んだ



私は恐る恐る振り向いてみる


ゆっくりと。









次の瞬間、私は慣れたぬくもりを感じる









両腕でしっかりと包み込まれた私の体は、拒むことをしない

抱きしめられているという事実を受け止める





無理に彼を避けようとしていたのに、こんなことされたら……




離れられなくなるじゃない。






「やめてよ…」


嘘で塗り固められた言葉





多分臨也さんは気付いてる



私の本当の気持ちに。




「が俺のことを好きって言うまで、やめない」

「言う予定はありません。だから諦めて。」

「嫌だ、離したくない。」

彼の腕の力は一層強くなる




Vネックのシャツからは、私が大好きな匂いがする

私が気に入ってた洗剤


スーパーで見つけたそれを、私が「いい匂い」って言って、
臨也さんはいつも使ってる洗剤をカゴから出して、
それを買ってくれた


今の私も同じ匂い



2人で過ごした時間が、思い出が…蘇ってくる










「お願いだから、嫌いにはならないで。」








私の首筋に、あたたかな雫が滴り落ちた








顔を上げてみる









「泣いてるの…?」







「泣いてない」







そう言う臨也さんの目は、今にも溢れ出しそうなくらいの涙を含んでいる



路地裏を吹き抜ける微かな風が、フードに付いているファーをなびかせた





















どちらからとも無くキスを、した。




















「キスをしよう」とも言わず、
どちらかが先に目を閉じたわけでもなく、
どちらかが一方的に顔を近づけたわけでもなく、






ごく自然に。
私が目を閉じる瞬間に、同じように彼も目を閉じ、
自然に唇を重ねた












心の、本当に奥の、底辺の…

とても深いところが、きゅっと苦しくなった




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