第14章 煙草の匂い
「付き合ってるような雰囲気だけど、“好きです 付き合ってください” “はい” みたいな流れは今までにないです」
「そっか…」
静雄さんの口角が上がるのが、近くにある街灯に照らされて見えた
自分が微笑んでいる事に気付き、慌てて右手で隠す
そんな彼の行動が何だか可愛らしくて、私も微笑んだ
「どうする?家、上がるか?嫌って言うならここで少し話して終わりにしようと思ってたけど…」
私は少し悩む。
“少し話して終わる”なんて表現は少し寂しい
「お前が来んなら、今日は珍しく手料理でもすっか。」
「静雄さんの手料理?」
「おう。メニューとか決めてないから、好きなもん言ってみろ」
「食材あるんですか?」
「あ……」
静雄さんの間抜けな顔を見て、ノープランなところを見て、私は笑ってしまった
つられて静雄さんも笑う。
2人で笑った。
「ごめん、やっぱカップ麺でいいか?」
私はコクリと頷いた