第2章 はじめまして、って言うべきかな?
彼は超能力者のように、
「あいつは今からこうなる」
「あの人と待ち合わせをする」
などと言ってそれを見事に当て、
私を楽しませた
警戒心はすっかりなくなっていた
この人を奇妙だと思ったこともすっかり忘れていた
「じゃあ、私の名前とか知ってたりするのかな…?」
まだ名乗っていないことを思い出し、そう問いかけた
「君はつい最近までこの街にはいなかったよね?
まだ情報が浅くて見えない。」
彼は向きを変え、柵にもたれかかる体勢になった
しかし何かを思い出したように、話相手である私の元に近寄った
2人で柵にもたれかかって話を続ける
「 、21歳
池袋には1ヶ月くらい前に引っ越してきたばっかりで、
ここからは見えないけど…この近くの文具屋でアルバイトさせてもらってるんです」
「俺は折原 臨也。君と同じ21歳で、情報屋。」
「本当に?2、3歳は年上に見えるけど…」
「鋭いなあ。そんな微妙なところまで見抜くなんてさ」
「じゃあ23歳?24歳?」
「23だよ」
この会話をしたことで、折原臨也の中でのの印象が大きく変わることになった。
「そうだ、君について知ってることがひとつ。」
「なに?」
横を向くと、思ったよりも近距離で緊張してしまう
私はまたすぐに前を向いた
「一人暮らしだね」
「すごい!なんで分かるの?」
「池袋に住んでる人で君の名字はいないからね。親もこの街にはいないんだろ?
それに誰かとシェアハウスでもしてるなら、君みたいなフレンドリーな奴はとっくに友達とここを歩いたりしてるさ」
柵の向こうを指す綺麗な指
そこにはめられた指輪
いちいち人を魅了する…
「まあ、ボッチざまあ!ってところだね」
「うるさいなぁ。折原さんもこんなところで趣味やってるくらいなんだからボッチじゃないですか?」
この街に来て、初めてこんなに笑った気がする。
「そうだ、俺の事務所に来なよ。
時間もちょうどいいし、一緒に鍋でも食べようじゃないか」
私は頷く。友達がいない者同士、すっかり意気投合したみたい。
『あのクソノミ蟲野郎!!!俺をハメやがって!!殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!』
騒がしい人混みから聞こえる、一際大きな声
折原さんはクスクス笑った。
理由は聞かない。私たちはその場を後にした。