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【デュラララ!】究極選択Ior S

第2章 はじめまして、って言うべきかな?



‘‘気持ち悪い”という言葉が似合わない顔立ちだった

多分私はそれに釣られてしまったんだ

自分自身の考えを見失う

気持ち悪いと思っていた双眼鏡も、そこで得た情報を記録するスマートフォンも、

仕事なのかと思って納得してしまう

「でもどうして、ビルの屋上から見てるばっかりなの?
週に5日もここに来てるなんて
仕事をするなら、標的の後をつけたほうがいいんじゃない?」

私の声は、彼を少し知った分柔らかくなっている気がした

「俺のこの行為は、ただの趣味ってとこかな。」

「やっぱりあなたストーカー?」

「やだなぁ。」

そうとしか思えない。好きな人を目で追って、それを記録してるとか…?

「いや、あながち間違ってはないかもしれないな。
俺はこの街の地を踏む、全ての人間のストーカーだ。」

「どういうことですか。」

「例えばね、見てごらん、あのグループの一番前の男。
あいつはスリの常習犯でね、奪った金でツレにメシを奢る。
きちんと証明もしてやるさ。あいつらを連れてる時は、
西側の赤い看板のラーメン店に入る」

淡々と続いていた会話がピタリと止み、静かな空気が流れる

そして長い沈黙を破るのは私

「あ…」

黒いコートの男は笑う

でもそれはここ数分で聞かなかった、純粋な子供のような笑い声。

「面白いだろ?話したことのないヤツの行動を俺は知ってる。
俺はこの街の人間の行動を、情報として売ってるんだよ。
趣味を生業にできる、それは俺が心から人間を愛しているからさ」

この人はいい人だ

スリをしている人の情報はのちに警察に知らされるのだろう

浮気された人と浮気した人、互いのいざこざも解けたのだろう

そう思った。

でも私は、ちゃんと言葉を聞いていなかったんだ

彼の端正な顔立ちに惑わされていたんだ

「‘‘手に入れた情報で面白いのがあれば、
その糸を絡ませて糸くずにして、
俺が切り刻んでやる”」

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