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【デュラララ!】究極選択Ior S

第10章 普通の生活




「ねえ、ちゃんと聞いてる?」


そう言われたのは、彼が話しはじめてしばらく経った頃

どれだけ経ったのかは分からない

でも、グラスいっぱいに入っていたカクテルが今は少なくなっているという事実が、臨也さんの話の長さを物語っている


「聞いてますよ」

「眠いんでしょ」

「眠いです…」




「…起こしてあげる」

呂律が回らない彼の意味深な言葉に、暫く間を置いてしまった

数秒後、私がその言葉に対して返したのは
「え?」でもなく「ん?」でもなく。

間抜けに口を開けたまま発音された「へ?」だった


私のグラスに少し残ったカクテルを飲み込み、そのままキスしてこようとする臨也さん

「ちょっ…と、…んっ…」

「っ…ふぅ…」

噛み付くようなキスの後、口の中に優しく注ぎ込まれるピンクグレープフルーツ。

そのほんのりとした苦味が舌から喉へと流れ込み、酔った私の意識まで刺激する


「なに?興奮したの?」

そう…その、意地悪な瞳

この瞳に何度理性を飛ばされそうになったことか…


まじまじと私の顔を覗き込んでくる彼が愛おしい

顔もかなり近くて、“何か”を期待してしまう



「続き、する?」

「え、あ…あの、続きって……」


まずい
この人、かなり酔ってる

紅潮した頬、潤いを増した瞳、大胆な発言


やっぱり私は何かを期待してしまって、何も言わずに息を飲んだ


でもそれは、長く続かなかった



「ふふ…」

そう小さく笑って、私の右肩にもたれてくる





暫くすると“スー……”と穏やかな寝息を立て始めた






いつも私が彼を見上げる位置にいるのに、今は断然低い…

そんな位置関係のせいか、いつもより幼く見える


そっと、髪を撫でてみた


もうすっかり乾いた髪からほんのりと、シャンプーの匂いがした

思わず口元が緩んでしまうけれど、今の私は彼と同じ匂い

そう思うと嬉しくてたまらなかった



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