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【デュラララ!】究極選択Ior S

第2章 はじめまして、って言うべきかな?



「ねえお兄さん、そこで何してるの」

それは明らかに怪しい雰囲気の男だった

春だというのに黒のファーコートを身にまとい、
双眼鏡で池袋の街を見下ろす

その様子を見て、スマートフォンの画面に文字を連ねる

ここは私のとっておきの場所なのに

この大都会で、唯一人がいないこの屋上が新鮮で大好きだったのに

よりによってこんな、気味の悪い奴が…

「何見てるんですか、何記録してるんですか」

横から問う。反応はない

「ここは私の大切な場所なの。あなたにはいてほしくない」

そうして彼は、初めて口を開く


「君は、人間が好きかい?」

危ない人だとすぐに理解した。とにかく気味が悪い

「俺はね、人間が好きなの。
人間っていう面白くて興味深くて、
見ていて飽きない存在が大好きなんだ。」

「気持ち悪い」

彼は街を見下ろしたまま、クツクツと嗤った

私の足は自然と一歩後ろに下がる

「心外だなあ。俺がそんな言葉を浴びせられるなんて」

双眼鏡から目を離さず、彼はスラスラと言葉を発した

「ここは俺にとっても大切な場所さ。
いいかい?俺はね、君のいない水曜以外は毎日ここに来てる。
ああ、流石に土日はいないけど。
水曜は夜に限って仕事があったんでね。
でもその仕事の依頼主、確か浮気真っ最中の妻の目の前で、
『よくも裏切ったな!』なんて叫びながら、首切ろうとしたんだよね。
本当、馬鹿な奴だったよ。
もう連絡がないし、死んでるんじゃない?」

不気味な嗤い声。

「だから水曜は妻と浮気相手の情報を探るために、
ここには来れなかった ってわけさ。」

「あなた、探偵か何かなの?
それならその双眼鏡も理解してあげられる」

黒いコートが風になびく

双眼鏡を離し、初めてこちらを向いて不気味な笑顔を見せた

そして彼はこう告げる

「情報屋、さ。」
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