第5章 関わるな
臨也さんに対しては少し不安要素が増えた。
どこが好きだったのか、
分からなくなってしまいそうだった
でもやっぱり話をしたいと思う
これから知ればいいんだよね。
もっと色々知って、いいところを見つけて、
軽い気持ちじゃなくて、ちゃんと臨也さんを、
‘‘好き”って言えるようになればいい
今ある場所を大事にしなきゃ。
アルバイトが終わった後で、
予定通り自分の家に荷物を取りに行った
この部屋も引き払うことになるのかな…
それも全部臨也さん次第、かな。
もっと彼と、たくさんの時間を過ごさなきゃ
いまのままじゃ何もわからないもんね
そうだよ…
何も知らないから…
自分に言い聞かせるように、何度も繰り返した
そんな自分が虚しくなった
私は何がしたいんだろう
池袋から新宿に向かう電車は、昨日の夜よりも長く感じた
それは一人だからなのか、
新宿に向かいたいという気持ちが失せているからなのか
よく分からない
色々考えすぎて頭がパンクしそうだった。
とにかく早く臨也さんに会う。
あの事務所に帰る。
そうすれば自分の本当の気持ちを取り戻せる
そんな気がするから…
臨也さんに書いてもらった、駅からマンションまでの道のりを見て移動する
昨日の記憶がまだ鮮明に残っていて、それを見なくても歩いて行けた
「やっぱり、親切なんだよなぁ」
可愛い字で書かれたメモ
愛しいな
今日の晩御飯も私が作ってあげよう
何がいいんだろう
好きな食べ物とか嫌いな食べ物とか、色々話そう
そんな事を考えてたら自然と足取りも軽くなった
あんまり、深く考えないでおこう…
なんとかなるよね。きっと。