第5章 関わるな
「あいつの優しさとやらは本物じゃねぇよ。」
「え?」
苦笑いしながらそう言ったが、
俺が真面目に話すのを見てまた悲しそうな表情に戻る
可哀想だとは思う
でも本当のことを話してやらないといけない
そうしないと、こいつが痛い目に遭う
この被害者を助けられるのは俺しかいねぇんだよな
所詮最初だけの優しさに惑わされて、
これから利用されるなんて思ってないんだろう
臨也……お前はこれからこいつを利用するんだろ
お前は最低だ
「臨也と俺が出会った日、いきなりナイフで切りつけられた。
それと同じ日に、またあいつが俺をはめた。
トラックに撥ねられたんだ。
第一印象も今の印象も、最悪だ
ついでに今あいつがやってる情報屋って仕事も、最悪。」
「ナイフ……」
は怯えてる
まだ見てないんだな、折りたたみ式のナイフ
俺に何度も何度も向けてきた凶器
悪いことをしている気がした
話しているうちに何回も謝りそうになった
でも俺はあいつが嫌いだ
だからあいつとを近づけるのは気が引ける
臨也の野郎に喧嘩売れるのは俺くらいしかいねぇんだよ
だから俺がこうやって、本当のことを教えるしかない
ごめんな。
俺に言わせてくれ
「あいつとはもう関わるな」。