第5章 関わるな
「お前なんなんだよ…なんであんなノミ蟲と一緒に…」
臨也を貶されて悲しそうな表情をするから、ただの男遊びではないのが分かった
あいつから嫌なことはされていないんだと察する
今にも泣き出しそうな顔だったから、
俺はなんとか対処しようと思う
「お前、昼休憩とかないのか?」
女は憂鬱そうな、悲しそうな顔を上げて、
「13時からです。」
と答えた
「分かった。休憩になったら店出てきてくれ」
咄嗟にそんな言葉が出てくる
俺はこいつをどうしたいんだ…
女は数秒置いてから頷く
‘‘あんまり話したくないけど”という目をしていた
とにかくムスッとしていた。
そして、気まずい雰囲気で店を出た
ペンのことを忘れていたと気づくのは、
事務所に戻って社長の顔を見たとき。
「すんません…」
「ああいいよいいよ、急ぎじゃなかったしな、
店教えてくれたら自分で行くからな?」
「静雄、調子悪いなら俺一人で行くべ?」
「すんません……」
俺がここを出た時と明らかに表情が違うのを察したらしく、社長とトムさんに気を遣わせちまった
でも、無理矢理にでも元気が出ねぇ
何なんだよあのノミ蟲
確かにノミ蟲が好きそうなタイプの可愛さだったがよ…
いや。あれは可愛かった
持ち帰りしたくなる気持ちも分からんでもない
持ち帰り…な…
あいつ、持ち帰って何しやがった…
もしかして…
ったく、何考えてんだ…
俺もノミ蟲も…