第4章 本音
「臨也さん、起きて〜」
突然聞こえてきた声、誰かの気配
重いまぶたを開け辺りを見回した
「…?」
「覚えてくれてましたか!」
当たり前だろ、と言って俺は軽く微笑んだ
忘れるはずもない
そして自分で持ってきた覚えのない毛布に手を掛ける
「これ…」
「まだまだ夜は寒いですからね」
まったく、憎めない奴だ。
ソファの横に来て、仰向けに寝ている俺の顔を覗き込んでくる
ずっとニコニコしてる
「…可愛い。」
暗闇で出会って顔も見えなくて、
惹かれたのは利用しやすそうな性格だけだった
利用して使い捨ててやろうと思ってた
でも、
なんだろうな
まだ寒いからって、毛布を掛けてくれる
俺が寝てる横に来てニコニコしている
可愛いって言っただけでそんなに目を丸くして
それに…
昨日の夜
俺を求める顔が忘れられない
もう、好きだと認めてもいい気がする
これが本音
「なあ」
「ん?」
俺の顔をまじまじと見てくるの腕を引っ張る
そして
前に倒れこんでくる瞬間にキスをする
昨日みたいに頬じゃなく。
何度も、何度も
唇を重ねる
俺はキスに慣れているわけじゃない
正直、可愛いと思っている相手とのキスは緊張する
背中がゾクゾクしてくる
唇がますます敏感になる
最初は戸惑っていたもその気になってきた
俺の息が苦しくなるくらい
間を空けずにキスしてくる
俺が下唇を舐めてやると、吐息を漏らした
これ以上すると色んな意味で大変そうだったから、
最後に髪を撫でながら、一度だけ優しいキスをした
ずっと仰向けに寝ていた俺はソファに座り直し
に、俺の上に向かい合わせになるように座らせる
最初は恥ずかしがって拒否していたが
「座れ」と命令口調で言うと大人しく従った
かなり密着していて顔も近い
「なんか甘い、良い匂いがする」
そう言うと、
顔を赤くしてよそ見しながら、
「えっと、あ…その、フレンチトースト…作ったので…」
と答える
駄目だ、ますます夢中になりそう
「ありがとう」
と言いながら俺は、彼女の胸に顔を埋める
腰に手を回して抱きしめる
彼女が、「あの、胸当たってます…」
というのが聞こえた
俺は目を見つめ、ニイと笑った