第27章 《 side S 》セルティさんと新羅さん
「おかえりセルティ!!おお!!驚天動地…静雄くんの彼女っていうくらいだから強そうな子そうだと思ってたけど随分お上品な子じゃないか!まあ上がりなよ、セルティが認めた人なら最高のおもてなしをするさ!!」
なんてお喋りな人なんだろう…
玄関の扉を開けると、白衣の男性が走ってきて一連のセリフを述べた
「初めまして、 といいます」
「礼儀正しい子じゃないか!!僕は岸谷新羅。見ての通り医者を……いや、医者って言ってもちょっとワケありなんだけど……一応はちゃんとした医者だから、みんなは僕のこと岸谷先生とかって呼んでるよ。まあ今後ともよろしくね!!」
私たちがそうやって挨拶を交わしている時、静雄とセルティさんは買ってきた食材の整理をしていた
「パスタくらいなら茹でれるだろ?」
そう言って袋に包まれたパスタを渡す
しかし、そこに岸谷先生が割り込む…
「静雄くん!!セルティはお料理修行中なんだ、まだ彼女に料理をさせちゃ駄目だよ!」
セルティさんはどこか悲しげに、PDAに文字を打ち込んで岸谷先生にそれを向ける
「ごめんよセルティ…本当に悪かった、僕は本当に情けない、遺憾千万だ……
じゃあ…そうだな、皿とフォークをセッティングしておいてくれないかな?」
PDAの操作はなかったものの、2人の間には何か良い空気が流れているような気がした
テーブルがある私の方向に近づいてきて、PDAに打ち込んだ文字を私に向けてくれる
【新羅がああやっていうから料理が上達しないんだ…
あいつに内緒で、今度教えてくれないか?】
なんて微笑ましいんだろう
セルティさん、やっぱりなにか人と違うものを感じるけど、とっても可愛い人だ
料理のほとんどは静雄に任せっきりだった
わたしとセルティさんが手伝おうとすると「大丈夫だ」って言うし、岸谷先生が手伝おうとすると、嫌な予感がするからやめろ!とも言っていた
でも岸谷先生はひたすら静雄を「解剖したい」だのなんだのでいじり続けていたし、岸谷先生は懲りずに静雄が怒りそうなセリフを連発していた
その後はみんなで静雄お手製のカルボナーラを食べたけど、忠実に言えば3人で。
セルティさんはヘルメットを取ろうとしないし、フォークを用意する時も自分の分は出さなかった
彼女には本当に、首がないのだろうか
