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【デュラララ!】究極選択Ior S

第26章 それは突然の。




「臨也、


帰れ…」



それだけしか言えなかった

を傷つけないように、泣かせることがないようにしてきたのに

邪魔者を殺すことでは涙を流す

それなら俺はどうすればいいってんだ


このモヤモヤする気持ち悪さを一体どこにぶつければいいのか分からなかった


臨也は、人が苦しむ顔や悲しむ顔、何を見ても面白いと言って嗤うような人間だった

それが今はどうだ

なんで手前は、俺を睨みつける…?
俺に攻撃を仕掛けてくるときは大概、厭な笑みを向けてきたってのに

なんでを見て、今にも泣き出しそうな目ぇしてやがんだ…
お前は人のために涙を見せるような人間じゃなかったはずだろ


こいつ、少しは人間らしいまともな感情を手に入れたのか…?

…手前は変わった



臨也は苦しそうに喉元を抑えて起き上がると、床に座り込んだの肩を抱く

すぐにでも止めに入りたかったけどそれはしない

を愛おしく想う気持ちは俺も同じだから
すこしはまともな人間になったお前に、すこしばかりの褒美をやろうと思ったから。




俺がもし逆の立場なら……

1ヶ月後の俺は、が臨也のもんだってこと、受け止められんのかな。





「じゃあね。」

名残惜しそうに立ち上がってそう告げる臨也
そしてすぐに背を向けた

玄関へ向かって歩き出すのをが呼び止める
そのあとに続く言葉は、本当にらしいもんだった


「あの……ご飯、ちゃんと食べて…ちゃんと寝て、元気で……」

部屋の中にわずかに差し込む光で、の頬に伝う涙が見えた



暫く続いた沈黙の後、臨也が静かに話をする



「シズちゃん、はあり得ないくらいのお人好しだ…

泣かせるような事があったら、またこうやって攫いにくるからね」


そのあと俺に見せたのはいつもの厭な笑みじゃない
誰にも向けたことがなさそうな、柔らかい表情



「泣かせねえって。」



臨也は背を向けて、俺の言葉に返事をする


「泣かせないって宣言できるなら、次は笑顔にしてやるって宣言しなよ。」


灯りのない部屋で、静かなこの部屋で、臨也と約束を交わした


「………ああ、上等だ」



その間も、の涙は止む事がなかった
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