第3章 技術
朝食を食べ終わると2人で倉庫に向かった。
立体機動装置を扱った事はあるらしいが、地下街から出てくる時に取られたと聞いていた為、予備で置いている立体機動装置を取りに行く。
倉庫に入ると案の定、何個か予備があった。
「好きなのを選べ。
自分に合う物があるかどうかは分からないが、もし壁外に行く事になったら必要不可欠だから、無いよりはマシだ」
するとユカは迷うこと無く1つの立体機動装置の目の前に立った。
「これで良い」
触ってもいないのに選んだユカを見てリヴァイはため息をついた。
「同じ立体機動装置だとは言ってもそれぞれ感触が違う。
実際に持ってみろ」
そう言っても触ろうとしない。
「どうした」
ユカの不思議な行動は昨日から何回も味わってきたが、今回はさすがに確かめさせる必要がある。
リヴァイはユカが目の前に立って居る装置を手に取って半ば強引に手に握らせた。
「どうだ」
「これだよ」
「…これ?」
意味が分からず聞き返すと、真っ直ぐとした目でリヴァイを見てユカはハッキリと答えた。
「私が使っていたのはこれ」
「はぁ!?」
リヴァイは驚いてまたもやいつもは絶対に出さない大声を出した。
地下街で使っていた立体機動装置がここにある筈が無いのはリヴァイ自身十分分かっているが、ユカはこれを使っていたと言う事に訳が分からずにいた。
「分かった。
じゃあそれをもって兵舎を出るぞ」
聞きたい事が存分にあったが、今すぐ聞く必要はない。
リヴァイの案内で兵舎の外に出るとエルヴィンとハンジ、そしてミケが待っていた。
「意外と早かったね」
「倉庫で選ばせる時に1発でこの装置を選びやがった。
しかも、使った事がある物らしい」
そう言うとエルヴィンは少し驚いた様にユカを見ながら聞いた。
「地下街でそれを使っていたのかい?」
ユカは縦に首を振るとエルヴィンは難しい顔をした。
「地下街にあった物はここには無い筈なんだが…」
「今は後回しだ。
とりあえず付けさせ…」
そこまで言ってリヴァイはまた驚いた。
もう既に装着が完了ている。
ハンジが装着の仕方に何か問題が無いか確認したが完璧らしい。
(本当にこいつは俺の妹なのか…?)
そう疑問に思ったが今は関係ない。