第3章 技術
翌朝、リヴァイはベッドから下りて顔を洗い兵服に着替えたがユカは未だにベッドの上で寝ている。
『逃げてきた』という事から相当疲れているのかもしれない。
リヴァイは何も言わずに私室を出てそのままエルヴィンの執務室へ向かった。
「リヴァイ…頼むからノックぐらいしてくれないかな?」
苦笑いしながら言うエルヴィンを見てリヴァイは表情を変えずにソファーに座った。
「いつもの事だろ」
「確かにそうだが、ここは私の仕事場なんだが…」
「で、何時にあいつの訓練の様子を見るつもりだ?」
リヴァイは少し睨みながら聞くと、今度は柔らかい笑顔を見せながらエルヴィンは答えた。
「なるべく早いほうが良いね」
「なら今からするか」
そう言いながら立ち上がるとエルヴィンが少し強めの口調で話してきた。
「まあ寝ているんじゃないのかい?」
「あのままじゃ、今日1日寝て過ごしそうだぞ」
それだけ言ってリヴァイは執務室を出て私室へと向かった。
部屋に入るとユカはベッドの上でちょこんと座っていた。
「起きてたのか」
それだけ言ってリヴァイはタンスから女用の兵服を取り出した。
昨日、ユカの技量を見る為に必要だと思い急いで取り寄せていた。
「これに着替えろ。
俺は見ないから遠慮なくそこで着替えたので良い」
リヴァイがそう言って窓のほうを向くと、着替え始めたのか布同士が擦れる音がしてきた。
「これで良い?」
着替え終わったのか話しかけてきたのでリヴァイは振り向くと着替え方を教えていないにも関わらず、完璧な着こなしに驚きながらも納得した。
「朝食が終わったら早速お前の技量をみるぞ」
そう言って『ついて来い』と合図をしてリヴァイとユカは私室を出て食堂へ向かった。
食堂に入ると、既に兵士達は食事を済ませたのか殆ど人の姿は無かった。
リヴァイは椅子を指さしながら座るように促すと、2人分の食事を持ってテーブルに座り、パンとスープをユカの目の前に置いた。
「とりあえず食え。
何も食わないと力が出ねぇだろ」
するとユカは獣かと思うぐらいガツガツと食べ始めた。
(そう言えば、ここに来てから何も食って無かったな…)
そう思いながらリヴァイも朝食を食べながらユカを見ていた。