第2章 関係
私室に戻ったリヴァイとユカは寝巻きに着替えてベッドに潜った。
(こいつを兵士か…明日は大変な日になりそうだな)
そう考えているとユカがリヴァイの顔を見つめている事に気が付いた。
「どうした。
寝れねぇのか?」
するとユカは突然リヴァイを渾身の力を込めて抱き付いてきた。
「…怖い」
小さく呟いたその言葉に答えるようにリヴァイもユカを抱き締める。
「大丈夫だ。
俺がついている」
「お兄ちゃん以外、皆怖い」
お兄ちゃん…そう呼ばれて思わず顔が綻んでしまう。
記憶がある限り、自分に兄弟が居るとは知らなかった。
1人…いや、かつて壁外で亡くした仲間と一緒に居た事はあったが皆家族は居なかった為、家族の様な存在だった。
その仲間2人は初めての壁外で巨人によって殺された。
それから孤独だった心の中が、今目の前に居るユカによって満たされていくのが分かる。
「心配する事はない。
明日は俺も付き添うから、安心して寝ろ。
相当疲れる筈だ」
そう言うとユカは体をリヴァイに密着させてそのまま眠りについた。
寝顔を見てみると顔立ちがかなり整っている。
(売られた理由は金が足りないだけじゃねぇな)
直感的にリヴァイはそう思った。
あまり気にせずにユカの顔を見ていなかったが、じっくりと寝顔を見ているとかなり可愛い。
いくら12歳と言えど女である事に間違いは無い。
起きる気配が無いのを確認してそっとベッドから下りて食堂へと向かった。
厨房で紅茶を淹れてそのまま食堂に入ると、難しい顔をしたエルヴィンとハンジが対面する形で座り何か話していた。
リヴァイの存在に気が付いたエルヴィンは手招きをしてリヴァイを隣に座らせた。
「今、明日の事について話し合っていたんだが、もしリヴァイの様にかなりの立体機動装置の使い手だったらどうする?」
壁外調査以外ではあまり見せない真剣でそして冷たい目線を感じながら淹れたての紅茶を1口飲み、リヴァイは答えた。
「それなら俺と一緒にしたら良いだろ」
「ねぇ、リヴァイ、本当に大丈夫だと思う?」
「何か心配する事でもあるのか?」
ハンジに目線だけを送りながらまた1口紅茶を口に含む。