第2章 関係
「ユカ、兵士にならないかい?」
「はぁ!?」
エルヴィンの言葉に驚いてリヴァイは思わず大きな声を出し、そして睨み付けながら言った。
「お前…こいつの立場を考えろ。
そんな事したら、こいつの体を買った奴が狙ってくるだろ!」
「珍しく取り乱しているね。
そんなにこの子の事が心配なのかい?」
意地悪く笑顔を見せてくる人物を怪訝に思いながらリヴァイは答えた。
「とりあえず今日分かった事で今は十分だろ。
兵士にさせる気なら俺は構わないが、訓練兵の時は特に危険だ」
「誰が訓練兵にさせると言った?」
「お前…まさか…」
リヴァイはエルヴィンの考える事が一瞬で分かった。
それも自分と同じ状況にさせようとする事を。
「調査兵団に入団させる。
訓練は…まぁ誰かと同じでそこまで必要無いと私は思っている」
そう言ったエルヴィンの言葉は表情とは裏腹に冷たい物だった。
リヴァイの時と同様、訓練兵を経験せずの入団は普通なら許されない。
それを今椅子にちょこんと座っている幼い少女にさせようとするのは無謀にも程がある。
「俺の時は事前に立体機動を使いこなせていたから分かるが、こいつは未経験だ」
「あるよ」
リヴァイの言葉とは正反対の事を言ったユカを見ると、広場で出会ってから見ていない笑顔を見せながらこちらを見ていた。
「使った事…あるの…か…?」
「うん」
「いつだ?」
「地下街」
(全く同じじゃねぇか)
そう思いながらリヴァイは眉間に皺を寄せてエルヴィンに言った。
「入団に関してはこいつの技量を見てからにしろ。
俺の時もそうだっただろ」
「確かにリヴァイの言う通りだね。
今日はもう遅いから明日、見せて貰っていいかな?」
ユカを見ながらエルヴィンが聞くと頷いた。
「じゃあ、その時は私も…」
「お前は明日兵士達の訓練担当だろ」
「そうだっけ?
じゃあモブリットに任せよう」
「駄目だ」
ハンジの提案をエルヴィンが即却下した事にハンジは項垂れる。
「私も見てみたいよ…」
「これに関しては例え分隊長でも関与させる訳にはいかない。
私とリヴァイで判断する」
「え~」
子供の様に駄々をこねるハンジを無視する。
「とりあえず今日はもう寝るぞ」
そう言ってリヴァイはユカの手を取って立たせ、資料室を出た。