第2章 奏で始める
「何を作ったんだ?」
「えっとですね……」
ちらっとゼンを見ると、視線を感じたゼンが「開けて良いぞ」と許可を出す。
ゼンが座っている階段の上(廊下)に、抱えていた物をおろし布を開く。
中ぐらいの木製の箱が出てきた。
ココナが箱を開けると、中には綺麗な銀製の栞と銀製の懐中時計だった。
銀製の栞は長い四角形で、花と葉っぱが水に流れるようなデザイン。
銀製の懐中時計は、雪をイメージしたデザインになっていた。
見事な品に三人は感嘆の息をもらした。
「「「……」」」
「……あ、あの?」
「…相変わらず見事だな」
「あぁ…、流石だな」
「綺麗だね」
ゼン、ミツヒデ、木々の順で笑みを溢す。
ほめられたのだと理解したココナは、満面の笑みで口を開く。
「デザインの希望はなかったので、栞は花と葉っぱが水に流れるような、懐中時計は雪をイメージしたデザインにしてみました。いかがですか?ゼン殿下」
「文句つけようがないほど上出来だ。ありがとな、ココナ」
「!ありがとうございますっ」
品物を手に取り見る、先ほどからゼン殿下と呼ばれているこの少年こそ、 ゼン・ウィスタリア。
この国の第二王子で、ココナの幼馴染みだ。