第3章 風が招く出会い
1人の兵士を捕らえて、剣をあてるミツヒデが答える。
ゼンとココナが、白雪に歩み寄った。
「ゼン…、ココナ!!」
「白雪無事!?」
「あ…うん。なんとか…」
「よう白雪。これ、結んでくれ。ほどけた」
「え、イ、イヤ、その前にあなた体は…」
突然の登場に、戸惑った白雪に腕を差し出すゼンは、ふっと笑う。
状況がやっと飲み込む事ができたラジが大袈裟に語りだした。
「!そうか。毒を口にした男というのはきみのことか!いや、不運なことだった!白雪どのを動けない様にして、連れて来させる手筈だったのだが」
「………。おまえが、林檎をよこした張本人か」
ラジを視線に捕らえたゼンがそう言うと、フンと鼻で笑ったラジは馬鹿にする目付きで言った。
「口のきき方を改めろ男。私ときみとでは、身分が違うのだぞ」
「…これは失礼を。ラジどの」
ココナと白雪を後ろにやりながら、ゼンが数歩前に出ると、後ろに居た木々とミツヒデはゼンを守る様に、ラジに剣を向け横に並ぶ。
ゼンは持っていた剣を掲げ、ある部分を見せながら名乗りをあげた。
「では面倒だが改めて。お初にお目にかかる。私は、クラリネス王国第二王子、ゼン」
「!?」
「…………第二…王子!?」
まさかのこの国の第二王子。
ラジも白雪も目を見開いて驚愕していた。
ココナは知っていたので微笑んでゼンを見ている。
白雪が慌ててゼンに駆け寄る。
「ゼ…ゼン…、しっかりして!!私のことわかる!?1+1は!?」
「2。正気だ、白雪。万一に備えて、毒には少し慣らされててね…」
「(顔色が)」