第2章 奏で始める
「どうしてだ?」
一瞬肩を揺らした後、平静を装うように問い返す。
「集中してなかったから」
「確かに、隙が多かったな。いつもはあまりないのに」
臣下二人に言われ肩を落とす。
心地よい風が少年の銀髪を揺らす。
「やっぱりそうか。悪いな。そろそろココナに頼んでいた物が出来上がるはずなんだ。だから、気になっていた」
「ココナに?何を頼んだんだ?」
「本にはさむ栞と......」
両腕と両足を軽く伸ばして答えていると、遠くから少年を呼ぶ声がした。
「......ゼ...ン殿......下ーー!ゼン殿下ーー!!」
大きな声でゼン殿下と呼ぶ声。
銀髪の少年は「来たな」と言うと、声がした方向に返事を大声で返す。
「ココナーーー!こっちだーー!!」
その声を聞きココナが建物から姿を表し、少年達がいる中庭へと走ってきた。
「……ハァ…ッ…ハァ……ッおはようございます。ゼン殿下」
「あぁ、おはよう」
「ミツヒデさんと、木々さんもおはようございます」
ぺこり…と、少年達に頭を下げてから笑顔で笑う。
少し息切れをしているが大丈夫なようだ。
心配するミツヒデも挨拶をする。
木々が挨拶をし、ココナにお水をさりげなく渡しながら問う。
「ココナが持っているそれは、ゼンが注文した物?」
「ありがとうございます。はい、そうです。予定通りできて良かったです」